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松村歯科クリニック

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症例 case 3

親知らずの相談 [出産に向けて]

概要

1. 初診時X線パノラマ

この患者様は、他患者様からの紹介で親知らずの相談を主訴として来院されました。レントゲン上では左右上下に8番(親知らず)を認めます。特に上顎においてはその傾斜が著しく、一つ手前の7番(第2大臼歯)への圧迫、エスカレーションを認めます。上下とも歯列不正の主原因になるものと考えます。問診によりこの8番による顎機能不全(いわゆる顎関節症状)の訴えもあります。

2. 初診時上顎面観

いわゆるオチョボ口の患者様でこの写真を撮るのにも苦労しました。頬粘膜も厚く抜歯をする際には器具が届くかどうか正直言って悩みました。しかも上顎洞底に歯軸として横たわっていて、上顎洞穿孔どころか埋入、下手をしたら静脈叢が存在する翼突下顎隙へと陥没させてしまうのでは、と常に葛藤があります(※)。と本音を言えば外来であまりにも点数を抑えられた健康保険では抜歯術をしたくない例です。
※以前当医院の代診の先生がそのような事故を起こし患者様に取り返しのつかないご迷惑と損害を与えた経緯がある。当然院長として私が事故処理にあたった。

3. 初診時下顎面観

下顎に関しては半埋伏であることが目視で確認できます。患者様はおそらく痛くなく抜歯してくれると聞いてその日のうちに抜いてくれるものならと紹介されてきたようですが、これはちょっと、と思いました。

4. 右上剥離時

いろいろ考えられる偶発症と抜かないでいる弊害を説明したところ、やはり初診時より右側上下の8番を抜歯することとなりました。たいへん根性の座った患者様で竹を割ったような性格の方です。事前に電話にて予約をしてくださり、私も都合1時間程時間を取っていましたのでその日の内に右側上下を抜歯しました。器具がなかなか届かず口角を思いっきり引っ張らざるを得ません。この場合は特に口角炎対策が必至です。

5. 右上8番確認

頬粘膜が厚く目視下で剥離するにもなかなか術野を確保できず苦心しました。埋伏している8番の歯面直下には上顎洞底の薄い皮質骨が存在します。そりゃ緊張しますし、剥離子を持った左手は“こむら返り”になるし、上顎結節の骨は8番を抱えているし、へーベルは引っかからない状況です。

6. 右上8番抜歯開始

私が愛用している日大3型のへーベルでアプローチしていますが、7番に損傷を与えずさらに上顎結節も極力温存して抜歯するのは無理かと思いました。口角裂傷予防のためワセリンを塗って同部に小折ガーゼを敷きへーベルをかけるのが基本ですが、それだと術野が全く目視できないので口角炎になるご了承を得て、思いっきり引っ張ります。頬粘膜が強い!

7. 右上上顎洞穿孔

何とか骨内の7,8番間にへーベルをアプローチして抜歯しました。辺縁歯槽骨の鋭端は骨やすりまたは破骨かん子で丸めましたが、一部上顎洞底の裂開を認めました。その処理をしてきっちり縫います。

8. 全8番抜歯後X線パノラマ

このように右側と左側と上下2本ずつを計2回にわけて何とか抜歯を施術しました(途中で消毒や抜糸などで来院していただいています)。反対側を施術するのに約1ヶ月おいています。上顎結節の不必要な破壊はなくまた左右上顎洞底皮質骨の再形成が見受けられます。このパノラマ写真撮影時は下顎はまだ治癒過程と思われます。

9. 全8番抜歯後上顎面観

左右親知らずの抜歯が無事終了し患者様ご自身の違和感が消失すると、いわゆる顎関節症を思わせる不定愁訴の軽減なされたとのことです。TBI後で染め出し液がまだ一部付着していますが、7番の遠心に歯ブラシが届くか?その歯肉歯槽骨のアタッチメントは良好か?がポイントになります。

10. 全8番抜歯後下顎面観

7番の遠心に不必要な歯周ポケットができていないかをチェックしてプラークコントロールの向上に努めます。もともと口腔清掃状況は良好な患者様で口腔歯科治療の理解度が高い方なので患者様への説明や対応には逆に当方に気遣っていただいたかな?と思います。遠方から来院くださっていているにもかかわらず、治療スケジュールの打ち合わせ等でも協力していただき、その辺はやりやすかった患者様ですが、とにかく抜歯に関しては当医院では難症例の部類であります。

11. 歯科における健康保険制で日ごろ思うこと


治療費は全て健康保険でせいぜい難抜歯の点数しか算定できない昨今の健康保険制度で開業医(開業医は自身の技術を売る中小企業の社長でもある)では高リスクかつ、訴訟のリスクが高いのに、費用があまりにも馬鹿にした金額なので(健康保険法による統制経済で技術があろうがなかろうが、医院の立地が駅前の地代が高かろうか人が寄り付かない場所かは関係なく一律で、しかも医療費抑制でここ30年経済成長に反比例して総体的に下がり続けている)、自院で抜かないで大学病院に紹介する傾向に拍車がかかっています。

実際、大学病院に紹介する保険点数のほうが高い訳ですが、患者様の立場に立てば何日か仕事を休んで大学病院へ通う患者様の経済損失は大きい。所轄官庁は開業医口腔外科での保険点数を今の10倍以上にすべきではないでしょうか?

他医院様から親知らず等の抜歯依頼が当医院に来てリスクのみ押しつけられている気がすることがあります。

老婆心ながら、抜歯ができる技量の先生方が淘汰されいなくなってしまうことを危惧しています。これは保険制度の弊害であると私は思います。

医療に関しては物販のような薄利多売は絶対にあり得ません。

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